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人はなぜ病気になるのか?を現役東大生が解説

人はなぜ病気になるのか?を現役東大生が解説
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世の中にはたくさんの病気があります。かぜのようにほとんどの人が経験したことがあるような軽い病気から、心臓の病気やがんなど命に関わる大きな病気まで様々です。インフルエンザなど季節によって流行がある病気もありますね。しかし、病気になったりならなかったりは人それぞれ。では、ある病気にかかる人とかからない人とでは何が違うのでしょうか。そもそも、人はなぜ病気になるのでしょうか。

病気になる原因にはどのようものがある?

病気になる原因にはどのようものがある?

一般的に病気になる原因は、主に外的要因と内的要因の2つに分けられます。ここでは、その2つの原因について具体的に説明していきます。

外的要因ってなに?

外的要因とは、病気の原因のうち、体の外から入ってくるものを指します。体の外から入ってきた菌が体の中で悪さをすると病気になることがあります。例えば、転んでけがをした時には傷口を消毒しますよね。あれは、傷口から菌が入ってくるのを防ぐためです。私たちにとって身近なかぜも、外的要因によって引き起こされる病気です。かぜはウイルスが体内に侵入してくることにより発症します。

しかし、けがをしたからといって必ず病気になるわけではありません。かぜのウイルスも空気中にたくさん存在しますが、いつもかぜをひくわけでもありません。これは、私たちの体には病気を防ごうとする仕組みが備わっているからです。傷口から菌が侵入すると、血液中に含まれる白血球(はっけっきゅう)という攻撃部隊が菌を食べることで病気になるのを防いでいます。かぜのウイルスが侵入してきた時にも同じように、白血球がウイルスを食べたりナチュラルキラー細胞という攻撃部隊がウイルスと戦ったりして、病気にならないように頑張っています。

それでも、睡眠不足や栄養不足、運動不足などの生活習慣の乱れが原因で、菌やウイルスと戦う力が落ちてしまうことがあります。このように、外から入ってきた菌やウイルスに私たちの体が負けてしまった時に病気になるのです。「早く寝なさい」とか「好き嫌いせずにご飯を食べなさい」とか言われるのは、病気に負けない強い体を作るためなんですね。

内的要因ってなに?

病気の原因は体の外から入ってくるものばかりではありません。内的要因とは、病気の原因のうち、もともと体の内側にあるものを指します。後で詳しく説明しますが、がんも内的要因が関わって発症する病気の1つです。普通、細胞は体の状況に応じて増えたり減ったりします。しかし、体からの命令を無視して細胞が増殖し続けることがあります。これが、がんという病気です。

内的要因には、生活習慣や年齢、遺伝子も大きく関係しています。栄養不足や運動不足が原因でなる病気や、歳をとるにつれて体の機能が落ちてくるとかかりやすくなる病気があるからです。また、生まれつき特定の病気になりやすい人もいます。今では医療も発展して予防できる病気もあるので、生まれてすぐにいろいろな検査をして病気になるリスクを調べることになっています。

なぜ風邪の症状が起きる?

なぜ風邪の症状が起きる?

かぜは私たちにとって最も身近な病気の1つです。かぜをひくと、熱が上がったり、くしゃみや鼻水が出たり…。大変ですよね。でも、実は、これらの症状は私たちの体がかぜのウイルスをやっつけようとして起こっています。では、体がどのようにウイルスと戦っているのか、それぞれの症状がどのように役に立っているのか見ていきましょう。

なぜ熱が出るの?

まず、かぜの有名な症状として熱が出ます。体温が高くなるのには大きく分けて2つ理由があります。1つ目は、ウイルスが活動しにくい環境を作るためです。ウイルスは熱に弱いです。夏よりも冬の方がかぜをひきやすいのも、ウイルスが寒くて乾燥した環境を好むことと関係しています。そのため、体温を高くすることでウイルスが元気になるのを抑えているのです。

2つ目は、私たちの体に備わっているウイルスと戦う力が温度の高い方が強くなるからです。この病気と戦う力のことを免疫(めんえき)と呼びます。一般的に免疫が正常に働く体温は36.5℃と言われており、そこから体温が1℃上がると免疫力は最大で5~6倍にも上がると考えられています。そのため、私たちの体にウイルスが侵入してくると、病気と戦える力を高めようとして熱が上がるのです。

では、体温はどうやって調整されているのでしょうか。私たちの体では、内臓や筋肉が活動することで熱を作って体温を上げ、皮膚の表面から熱を逃すことで体温を下げています。この調節を指示しているのが脳です。かぜウイルスを感じると、脳は体に体温を上げるように命令します。そして、体を震えさせて熱を作ります。かぜの時に「寒い」と感じるのは体温を上げようとするからなんですね。また、体温を上げるためには筋肉や関節に負担がかかるので、かぜの時には筋肉痛や関節痛といった全身の痛みが生じることがあります。

なぜのどが痛くなるの?

熱のほかに出る症状として、のどの痛みがありますね。痛みだけでなく、のどが赤くなったり腫れたりすることもあるでしょう。これらののどの症状も、かぜウイルスを追い出そうとする反応によって引き起こされます。

かぜに感染すると、のどには白血球という攻撃部隊がウイルスを追い出そうと集まってきます。このとき白血球は血液の流れにのって移動するので、私たちの体はのどの血管を広げて白血球が集まりやすいように工夫します。こうしてのどの血管が広がると、集まってきた血液の影響でのどが赤くなったり熱くなったりします。

血管を広げるときにはたらく物質の1つにプロスタグランジンというものがあります。このプロスタグランジンは痛みを強くする性質があるため、のどが痛くなるのです。

なぜくしゃみや鼻水が出るの?

くしゃみや鼻水といった症状は、鼻に入ってきたばい菌を吹き飛ばしたり洗い流したりするために起きます。かぜの時も、鼻についたウイルスを追い出そうとして、くしゃみや鼻水が出るんですね。

 もう少しだけ専門的な話をしましょう。私たちの体には病気と戦う力、免疫が備わっているということはお話ししました。かぜウイルスが侵入すると、この免疫が働いてヒスタミンをいうものを作り出します。ヒスタミンは鼻粘膜の神経を刺激することで脳に信号を伝え、くしゃみを起こします。また、ヒスタミンの刺激によって鼻水の分泌腺が刺激されるために鼻水がたくさん出るようになります。さらに、鼻の細い血管がヒスタミンによって広げられるので、鼻の粘膜が腫れて鼻づまりが起こるということになります。

なぜせきやたんが出るの?

せきは、のどの奥から肺にかけての空気の通り道にある神経が刺激されることによって起こります。誤って飲み物をむせたことがある人も多いのではないでしょうか。かぜウイルスが入ってきた時も同じです。かぜウイルスが空気の通り道のある神経を刺激することで、脳がせきをするように命令するのです。

かぜの時にせきが出るもう1つの理由として、たんを外に出すためということがあります。ウイルスがのどの粘膜について悪さをすると、私たちの体はウイルスを追い出そうとねばねばした液をたくさん分泌します。これがたんです。そして、このたんを体の外に出そうとしてせきが出ます。

かぜがさらにひどくなると、ウイルスと戦った攻撃部隊の白血球の死骸がたんに混じるようになります。たんはよりネバネバになり、のどの働きも弱くなるので、たんがのどに絡むようになるのです。

身近な病気、なぜ起こる?

身近な病気、なぜ起こる?

ここでは、皆さんにとって身近な体調の悪さについて、なぜ起こっているのかを一つひとつ見ていきましょう。きっと経験したことがあるものもあるはずです。

なぜ痛みを感じるの?

転んでけがをしたり、熱いものに触ってやけどをしたりした時、「痛い!」と感じますよね。「痛みなんて感じなければいいのに」と思ったこともあるかもしれません。しかし、実は痛みは私たちの体を守る働きをしています。

痛みは、私たちに体がダメージを受けていることを知らせてくれています。もし痛みを感じなくなったら、危険を察知したり回避したりできず、その結果けがや病気を繰り返すことや命の危険につながることもあるでしょう。例えば、やけどに気付かず熱いものを長い時間触ってしまったり、大きな病気に気付かず病院に行かない間に病気がひどくなってしまったり…。怖いですよね。

切り傷ややけどなどにより体が刺激を受けると、「体がダメージを受けた」という情報が発生します。そして、その情報が神経を通って脳に伝わります。脳がその情報を受けとってはじめて「痛い」と感じるようになるのです。

なぜ虫歯になるの?

虫歯の原因は虫ではなく、歯垢の中のミュータンス菌というバイキンです。ミュータンス菌が酸を作り、歯を溶かすことによって進行します。「虫歯にならないように歯をみがこう」というのは、ミュータンス菌が住む歯垢を歯みがきによって減らすためです。

他にも「甘いものをいっぱい食べると虫歯になるよ」と言われたことがあるかもしれませんね。実はこのミュータンス菌、甘いものが大好きで砂糖が入った甘いものがあると活発に働くようになります。そして、もっと酸を作って歯を溶かし、虫歯を作るのです。

虫歯の進行には、ミュータンス菌と砂糖が一緒にいる時間が強く関係していると考えられています。そのため、食べた後は歯みがきをしてミュータンス菌をなくすか、甘いものを長時間だらだら食べないことが虫歯の予防に大事になります。

いろいろな病気、なぜ起こる?

いろいろな病気、なぜ起こる?

経験したことはなくても世の中にはいろいろな病気がありますね。ここから先は、一度は聞いたことがあるだろう病気を集めました。いくつかの病気については、どのように病気になるかまだ詳しく分かっていないこともありますが、今一番有力だと考えられているものをご紹介します。

なぜ生活習慣病になるの?

生活習慣病という言葉を聞いたことがありますか?文字通り、主に生活習慣の悪化によって起こる病気をまとめて生活習慣病と呼んでいます。具体的には高血圧(こうけつあつ)、脂質異常症(ししついじょうしょう)、糖尿病(とうにょうびょう)などがあります。これらの病気には、病気になる原因に共通点があります。具体的に見ていきましょう。

高血圧とは文字通り血圧が高い病気です。血圧は手軽に知ることができます。病院などで測ったことがある人も多いのではないでしょうか。血圧測定器があるお家もありますね。しかし、血圧とは何かと聞かれたら、言葉に詰まる人も多いはず。実は、血圧とは「血液が血管を通る時に血管の内側を押す力」のことを指します。

血液量が増えたり血液の通り道である血管が細くなったりすると、血液が通るときに血管には強い力がかかることになります。これが高血圧です。塩分の多い食事やお酒の飲み過ぎ、運動不足は、血液量を増やしたり血管を狭くしたりするため、高血圧の原因になると考えられています。

脂質異常症には、いくつかの種類があります。有名なものとしては「悪玉コレステロールが多い」「中性脂肪が多い」「善玉コレステロールが少ない」の3つがあり、それぞれ原因が少しずつ異なります。

悪玉コレステロール、いかにも体に悪そうな名前ですね。この悪玉コレステロールが多くなる理由は、まず一番に、食事中の飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)が多いことが挙げられます。「飽和脂肪酸って何?」「脂肪と何が違うの?」と感じた人もいるかもしれませんね。一般的に、固形の脂肪は飽和脂肪酸の多い油脂であることが多いです。肉の脂身やバター、生クリームなどに含まれます。逆に、サラダ油や魚油のように液体のものは飽和脂肪酸が少なめだと考えていいでしょう。また、食事によりコレステロールを多く摂ることも悪玉コレステロールを増やします。しかし、実は意外にも個人差が大きく、飽和脂肪酸ほど悪玉コレステロール量に影響しないと言われています。

中性脂肪が多くなる原因はエネルギー量のとり過ぎ、具体的には甘いものや油っこいものの食べ過ぎがあります。ジュースのように砂糖の入ったソフトドリンクをひんぱんに飲む人も中性脂肪が多い傾向があります。

一方で、善玉コレステロールは運動や減量、禁煙によって上昇すると考えられています。

このように、脂質異常症は食べ物や運動習慣によって悪玉コレステロールや中性脂肪が多くなったり、善玉コレステロールが少なくなったりして起きる病気です。

生活習慣病の最後に糖尿病を見ていきましょう。糖尿病は血液中に含まれるブドウ糖が多い状態が続く病気です。私たちがご飯を食べると、栄養素の一部は糖として血液中に取り込まれます。血液中をただよった糖が筋肉などの細胞までたどり着くと、インスリンというホルモンの助けで細胞に取り込まれ、エネルギーとして使われます。この時、インスリンは細胞のドアを開ける働きをします。インスリンの働きによって、糖が速やかに細胞内に入ることができるのです。

しかし、このインスリンが出なくなったり、出ても働かなくなったりすると、血液中の糖は細胞内に入れず、あふれる状態が続きます。これを糖尿病と呼んでいます。

糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型糖尿病は子供や青年に多い病気で、インスリンを作ることができないために発症します。これは生まれつきであることが多く、生活習慣病ではありません。一方、2型糖尿病は中高年に多い病気で、生活習慣病の1つに分類されます。糖尿病の患者さんのほとんどはこの2型糖尿病です。はっきりとした原因はわかっていないものの、遺伝的な要因に運動不足や高脂肪食の食べ過ぎといった生活習慣の乱れが加わって発症すると考えられています。

生活習慣病の原因の共通点は分かりましたか?甘いものや塩分のとり過ぎ、運動不足によって引き起こされます。ちょっとした生活習慣の乱れの積み重ねが、命にも関わるような重大な病気の原因となることが分かっていただけたと思います。

なぜ骨粗しょう症になるの?

骨粗しょう症(こつそしょうしょう)、早口言葉みたいな名前ですね。骨粗しょう症はお年寄り、特におばあちゃんに多い病気です。骨がもろくなり骨折しやすくなってしまいます。

健康な骨では、骨吸収という古い骨を壊す作業と骨形成という新しい骨を作る作業がバランス良く行われています。しかし、運動不足や年齢などが原因でこのバランスが崩れることがあります。多くの場合、骨を壊す力の方が強くなるために骨が折れやすくなります。これが骨粗しょう症です。

特に女性で骨粗しょう症が多い原因は、ホルモンが関係しています。女性は子供を産むために女性ホルモンを出しています。実は、女性ホルモンは古い骨が壊れるのをゆるやかにする効果があります。しかし、歳をとると女性ホルモンの分泌量が減って子供を産めない体になります。そのため、ご高齢の女性では骨を壊す力と作る力のバランスが崩れ、骨がもろくなってしまうことが多いのです。

なぜがんになるの?

ドラマなどで不治の病として描かれることも多いがん。自分とは関係のない大きな病気のようですが、現在では日本人の2人に1人は一生のうちに何らかのがんにかかると言われています。実は私たちにとってとても身近な病気なのです。

がんは、遺伝子が傷つくことによって起こる病気です。がんの中にはウイルス感染と関係していると考えられているものもありますが、がんそのものが人から人に移ることはありません。

遺伝子に傷がつくと異常な細胞ができます。そして、がん細胞はこの傷が2~10個つくことによって発生します。正常な細胞に異常が起こると、その異常を持った細胞が増殖します。また、他の異常が重なるとさらに早く増殖するようになり、この積み重ねでがん細胞がたくさん集まるようになります。蓄積したがん細胞は膜を越えて血管などに入り全身に運ばれるので、ある臓器でできたがんが他の臓器に広がっていくのです。「転移(てんい)」と言います。聞いたことがあるかもしれませんね。

がんになる理由にはいろいろなものが考えられています。タバコ、飲酒、肥満、運動不足などもその1つです。赤肉や加工肉も大腸がんのリスクを上げると言われています。逆に、野菜に含まれる物質が発がん物質の解毒を助けたり、がん化を進める活性酸素というものを消去したりするという報告もあります。詳しいメカニズムについてはまだ明らかになっていないことも多いですが、意外と身近な生活習慣とがんとの関係が示唆されてきているのです。

どうやったら病気を予防できる?

どうやったら病気を予防できる?

ここまで、いろいろな病気が起こるメカニズムを見てきました。病気になる原因が分かるなら病気にならないようにできるはず、そう思いませんか。ここからは今までご説明した病気になる理由を踏まえて、病気を予防するためにできることを考えていきましょう。

生活習慣を見直そう

食事・運動・睡眠。これらの生活習慣を見直すことは生活習慣病になるリスクを下げます。生活習慣病は放っておくと全身の血管が詰まったり、心臓や脳の病気に発展したりするなど命に関わることもあり、とても恐ろしい病気です。

生活習慣病ばかりではありません。規則正しい生活習慣は免疫を高め、ウイルスと戦う力を強くします。そのため、かぜや他の感染症の予防にもつながります。

バランスよく食べて、運動して、規則正しい睡眠をとる。基本的なことですが、継続して良いリズムで生活することが病気を予防する上で1番大事なことです。

運動をする習慣がない場合、是非当社にもご相談くださいね!

手洗い・うがい、歯みがきをしよう

病気を予防するには病気の原因となる菌やウイルスを体から追い出すことが効果的です。外から帰ってきた時の手洗い、うがいは菌やウイルスを洗い流すことで、体内に侵入してくるのを防ぐ効果があります。歯みがきは、歯についたミュータンス菌という菌を除去できるので、虫歯の予防に効果的です。

また、最近では、歯みがきによって口の中の細菌の数を減らすことは、虫歯だけでなく他の感染症の予防にも有効だと考えられています。

手洗い・うがい、歯みがきはついつい面倒だと感じ、適当にしがちですよね。しかし、しっかり手洗い・うがい、歯みがきをすることは体を清潔に保ち、病気になるのを防いでくれます。

検査を受けよう

検査によって病気になるリスクを早めに知ることで、病気の進行を予防することができます。虫歯になりそうな歯がある、血圧が上がってきている、コレステロール値が上がっているなど検査を受けないと気づけないこともあります。まずは、学校や仕事場で定期的に行われている健康診断をしっかりと受けましょう。

最後に

いかがだったでしょうか。人が病気になる理由がわかったでしょうか?

病気はいつも「悪」というわけではありません。痛みやかぜなどの症状は私たちの体を守るため、菌やウイルスと戦うために起こっているということは興味深いのではないかと思います。

身近な病気も命に関わる大きな病気も、意外と普段の生活習慣が関係して起こっていることも分かりましたね。食事、運動、睡眠の生活リズムを整えて、病気に負けない強い体を作っていきましょう!

WRlTER この記事を書いたのは
ファースト登録コーチ K.M

現役東大生ライター M.K 家庭教師ファーストの登録家庭教師。東京大学薬学部在学。家庭教師だけでなく塾講師の経験もあり。