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陸上教室でタイムが伸びない理由と対処法

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今回の記事では陸上教室で伸びない理由と対処法について、初心者~上級者に分けて紹介します。

また、陸上選手なら必ず直面する「スランプ」を乗り越える方法についても紹介します。筆者は短距離専門の選手なため、短距離~フィールド種目の人に共通する事柄が多くなってしまうかもしれませんが、長距離の方にも取り入れることができるため、是非自分の競技の参考にしてみてください!

一人での練習に行き詰ったら、是非私たち家庭教師にもご相談くださいね!

記録が伸び悩むとはどういう状況なのか

陸上選手は誰しもが「練習を真面目に取り組んでいるのに、タイムが出ない」「感覚とタイムがずれている」状態になることがあります。実際、結果がでる状況は、練習の成果の加えて、身体や競技場のコンディション等、様々な要因で重なっています。なので、いわゆる「スランプ」の状況は誰もが起こりうる状態なことは理解する必要があります。トップ選手でも、一年(シーズン)の間に自己ベストの更新ができない場合もあります。大切なことは、スランプに陥らないようにすることでなく、スランプに陥っても打開できるように自分自身を知ることだと思います。

陸上教室で記録が伸びない理由として考えられる原因

実際に記録が伸びない要因として一概にこれだ!と決めるものは存在しませんが、主に陸上教室で起こりうる要因を紹介します。

1.練習の強度やペースが自分に合っていない

一番の要因として挙げられると思います。陸上教室はどうしても集団授業のように、集団の合った進行で練習が行われるためです。起こりうるケースとして、自分自身に練習の強度が強すぎるor弱すぎる場合があります。練習強度が強すぎてしまうと、怪我に繋がってしまいます。怪我をしてしまうと練習以前に走ることが出来なくなってしまうため記録が伸び悩む原因となってしまいます。逆に練習が少なすぎても、身体に充分な負荷がかからず思うように成長することができません。特に陸上教室は小学生~高校生の方がほとんどなため、成長期に思うように発達できなくなります。

2.そもそも、指導方法が間違っている

大前提に指導者の指導方法が自分に合っていないor間違っている場合があります。陸上競技は理論も勿論大切ですが、自分自身の感覚が一番大切です。そのため、指導を全て取り入れてみるだけでなく、自分自身で選択するようにしましょう。合わない練習を取り入れないことも大切です。勿論、合う合わないを理解するためにある程度の理論や知識は必要ですので、まずは頑張って勉強してみましょう。

3.自分自身で考えて練習に取り組んでいない

足が速い選手の大半は、自分自身のコンディションや感覚を理解し、言語化できている選手です。かなり負荷がかかる走りこみでも「サボりながら取り組む」「何も考えず走る」「課題を明確にして一本を大切にする」選手では大きな差があります。そのため、走る練習や、ミニハードルやマーカーと言った技術練習の際も、自分自身がやりたい動きと感覚を大切にしながら取り組んでみましょう。言語として表現できたら完璧です。友達に動きを教えてあげることも。課題整理につながるため、オススメします。

4.そもそも、環境が自分に合っていない

陸上競技のみならず、考えて取り組んでは自分自身のパフォーマンスやモチベーションに大きく影響を与えます。現在の陸上教室の先生が合わない場合や、雰囲気に馴染めない場合は思い切って環境を変えることも大切です。集団塾が苦手な人が個別指導塾へ行くように、人には必ず合う合わないというものが存在します。せっかく足が速くなりたいのに陸上教室へ通ったのに、面白くなければ本末転倒です。自分自身に原因が無い限り、周囲の環境やモチベーションにが合わないと感じたら、思い切って陸上教室そのものを変えてしまいましょう。

陸上競技初心者向け 記録が伸び悩む原因と練習方法

以下の内容は陸上競技を始めて1~3年目向けの方に対する内容になります。陸上競技初心者によくある不調の原因と対処法について紹介します。ですが、あくまで一例のためあくまで参考程度のよろしくお願いいたします。

フィジカル不足

そもそも速く走れるようになるには、記録に比例してフィジカルの強化を取り組む必要があります。フィジカル面がおろそかになってしまうと上手く記録更新には繋がりません。特に陸上教室などでは、あまり走り込みやトレーニングなどは行わず、走り方の練習に寄ってしまいがちです。ですが、足が速い人の技術というものはその人のフィジカルがあって初めて出来ることなのです。そのため、大前提としてフィジカルトレーニングを怠らないように努力しましょう!特に陸上を始めて間もない段階では、フィジカルの強化が一番の記録向上に繋がります。トレーニングを取り組んだ分、必ずタイムはついてくるためフィジカルの強化を継続して取り組みましょう。


オススメはサーキットトレーニングです。筋力トレーニングを何種目かに分けておこない筋力強化を図ります。是非取り組んでみてください。

走り方が間違っている

初心者はトレーニングを取り組んだ分、記録は向上していきますがある一定の記録からは走っているだけでは出なくなってしまいます。その原因としてそもそも走り方を変えていないケースが考えられます。いくら走りこみやフィジカルトレーニングに取り組んでいても走り方が非効率的ではどうしても限界があります。初心者の方はいい意味でフォームは変えたい放題の状態なので、様々な意識や技術を取り入れてみましょう。

オススメはミニハードルトレーニングです。陸上部の方なら知らない人はいないと思いますが、ミニハードルトレーニングには足が速くなる要素が沢山詰まっています。そのため、ミニハードルトレーニングを取り組んでみましょう。

怪我をしてしまう

当たり前ですが、ケガをしてしまうと、思うようなトレーニングは継続出来なくなります。そのため、ケガをしてしまうと記録やパフォーマンスに大きく影響を与えます。ですが、ケガは不注意で起きるものから、突発的に起きるものもある為、どうしても避けられません。いまこの記事を読んでいる頑張り屋さんのあなたも、過去にケガには悩まされたと思います。大切なことはケガをしてしまった期間に、如何に出来ることを取り組むかだと思います。ケガをしてしまったからといって、モチベーションが低下してしまいトレーニングに取り組まなくなってはタイムには繋がりません。ですが、だからといって痛みを我慢しながらトレーニングに取り組んでしまっては返ってケガを悪化させてしまい、競技復帰が遅くなってしまいます。

そのため、ケガをしてしまっても痛みがない部位のトレーニングに取り組むことが大切です。筋力トレーニングや体幹トレーニングでもいいと思います。出来ることを積み重ねる選手は、ケガをしてしまってもその後の記録が伸びる傾向があります。ですが、まずはケガをしないことが一番良いですので、ケガには注意してトレーニングを取り組んでみましょう。日頃のウオーミングアップや食事、ストレッチなどの積み重ねがとても密接に関わってきます。

本番当日の不注意やミス

試合当日の身体のコンディションは、記録に大きく影響を与えます。トップ選手には試合から逆算し、2週間ごとに調整を行うほど当日の身体のコンディションは大切なことです。当たり前ですが、前日に夜更かししてしまうことや遅刻してウォーミングアップができないなんてことはあってはなりません。また、トレーニングのやりすぎによる肉体疲労が蓄積された状態で試合に臨んでも記録には繋がりません。特に陸上初心者な場合は、本番に向けたトレーニングをあまり考えずに試合に出てしまうケースがほとんどです。練習のように本番もとは言いますが、身体のコンディションは最高である必要があります。そのため、試合日程が近づいてきた時は、できるだけ疲労をためないようにしてみるだけでも記録に繋がります。そのため、ウォーミングアップの方法や試合の時の過ごし方をコーチや先生の方に聞いてみると良いです。


また、本番での緊張からか、思わぬミスや練習の動きができない場合も記録が伸び悩む原因になります。隣に自分より速い選手がいたり、本番前に不安になってしまったりと理由は様々だと思います。初心者に限らず、緊張は頑張ってきた証のため、誰でも起こりうる状態なのです。大きな舞台や大会に出場するほど、緊張も大きくなっていくと思います。ですが、本番前にいくら考え込んでも走りは大きく変わることはありません。そのため、緊張してもパフォーマンスに大きく影響を与えないよう精神状態を保つことが大切です。日頃から本番を想定したスタート練習やタイムトライアルを練習で取り組んでみましょう。そうしたことにより本番と練習の感覚のズレが少し改善できると思います。また、スタート前に深呼吸をして、レースを想定したイメージトレーニングを取り組むことも大切です。

陸上競技中級者~上級者向け 記録が伸び悩む原因と練習方法

次の内容は少し発展的な内容になります。近年では陸上教室やクラブチームの活動が盛んであり、初心者のみならず、実績を残している選手も陸上教室やクラブを利用しているケースが多いです。陸上に関してある程度分かってきたし専門種目も固まった人向けの内容になります。実際に紹介するトレーニングや改善方法を取り入れてみましょう。

ピーキングがずれている

調整方法が失敗している状態を指します。いきら練習でいい動きができている状態でも、試合当日にピーキングを合わせなければなりません。しかもピーキングにも、1試合に合わせるピーキングと、シーズンを通じてのピーキングがあります。特に後者の例として、インターハイや目標としている大会で最もいい記録を出す必要があるのに、試合前にピーキングがきてしまい、目標とする大会で力が発揮できない選手は何人もいます。特に高校生の場合は、試合スケジュールがハードなため、そのような状態になってしまいがちです。そのため、より良い記録を狙うほど、ピーキングは大切にする必要があります。

日頃の練習でも調子が良い、悪いで終わるのではなく、なぜ調子が良い、悪いのかを分析することが大切です。日頃の練習日誌などに練習メニューだけでなく、感覚やコンディション、食事や動作の意識まで全て記録するようにしましょう。最初はわかりづらいですが、記録を続けるにつれて調子が良い日の共通点が理解できるようになります。ピーキングの方法は人によって方法は変わっているため、一概にこれだ!といったピーキングの方法は存在しません。自分のコンディションを一番に理解してシーズンの計画、ピーキングの方法を確立しましょう。

練習が課題改善に繋がっていない

当たり前ですが、記録が速ければ速い人ほど、記録を向上させることは困難になります。100mを13秒から12秒台にするのと、11秒台から10秒台にするための練習方法が同じなはずがありません。記録が向上すればするほど、必要な技術やフィジカルの強化はどんどん増えていきます。そのため、自己ベストを更新したあとの練習が、更新する前と同じであってはなりません。陸上選手は1日の練習で、常に1%の成長を意識しなければなりません。

一番わかりやすい例はタイム設定です。普段の走りこみでも、同じ設定でこなしてしまっては成長はしません。筋肉にも慣れがあり、同じ重量をこなしていても成長しないことと一緒です。常に速い記録を求める必要があります。また、技術種目を専門種目においている人は、技術を大切にしなければなりません。ついつい楽しいからといった理由で、なにも考えずに種目練習に取り組んでいては、いつまでも技術は向上しません。トップ選手になればなるほど、1本ごとの意識を大切にしています。練習には必ずなにかしらの意図があります。練習の意図を自分なりに考察し、動きとして取り入れる必要があります。

現在の練習で伸び悩む場合は、別の視点から技術に向き合うことも大切です。良い時の感覚ではなく、悪い時の練習ほど成長するポイントはありません。悪い感覚にも必ずなにかしらの要因があるため、常に自分自身を研究するようにしましょう。

理論と感覚がずれている状態

良くこのような言葉を耳にすることが多いと思います。「君って感覚派の選手だよね」「あの選手ってすごい理論派だよね」。理論と感覚とは高いレベルになっていくほど密接な関係があります。

試合で考えすぎてしまう

記録が伸び悩む選手ほど、自己ベストの時の感覚を再現しようとしてつい試合当日に考え過ぎてしまいます。よくあるケースとして、記録会ではタイムがでないが、公式試合だとタイムが良い選手がいます。この現象は、記録向上よりも勝負にこだわった結果であると考えます。特に短距離種目の場合は、レース中に考えてしまうことは力みに繋がってしまいます。

練習で考えることはとても大切ですが、試合では敢えて考えすぎないことも大切です。特に一回に複数の意識を実現しようとして、どちらも中途半端になってしまうケースがとても多いです。意識して行う動作を無意識の感覚に落とし込むことが一番大切です。そのため、記録会などでは要点を絞り、無意識の感覚へ落とし込むことが記録向上に繋がります。

実際に筆者も取り入れた、スランプを打開する練習方法

ここからは筆者が実際にスランプになった時に克服した方法を紹介します。ですが、あくまで一例のため参考程度によろしくお願いいたします。筆者は110mハードルが専門ですが、いくら試合に出でもセカンドベストに近いタイムしか出せず、困難な状況が続きました。要因として自己ベストの時の感覚を再現しようと必死だったのです。当然のことながら、自己ベストの時のフィジカルと、現在のフィジカルはとても違います。そのため、どうしても感覚と実際の動きにズレが出てしまいます。全ての大会で自己ベストを更新するには無理な話なため、目標としていた大会の準決勝に自己ベストがだせるようにピーキングを調整しました。

具体的には、練習の際に意識した内容の確認のため、一本ずつ全てにメモを残すようになりました。また筋肉の勉強をし、最も効率的かつ大きな力を生み出すのは腸腰筋であることが理解できました。そこからは、意識を腸腰筋に絞り簡潔化した状況を作りました。そして、無意識状態での動作が改善されました。その結果、目標の大会の準決勝では自己ベストを更新し、さらに格上の選手しかいない決勝でも自己ベストをさらに更新することができました。筆者の話ばかりで申し訳ございません(笑)。このように自己ベストの時の感覚に囚われることなく、日頃の練習で課題を明確にすることがスランプを脱却する方法であると感じました。

スランプによって生じる精神状態とメンタルケア

陸上競技は、メンタルや精神状態が動作に大きく影響を与えるスポーツです。特に記録として明確に残るため、どうしても数字を一番に意識してしまいます。実際に筆者も、100mで10秒台をだすために、頭の中は10秒台でいっぱいでした。ですが、実際に10秒台を出したレースは、記録の意識などせず、ただがむしゃらに走った時でした。このように記録の壁を勝手に作ってしまう現象があります。日本人が長らく9秒台が出なかったように、9秒台がでた瞬間に次から次へと9秒台の選手が現れたように。記録の障壁は実際には存在しませんが、心の障壁として現れてしまいます。こうなってしまうと自信を失ってしまう原因にもなりますし、思うようなパフォーマンスを発揮できません。

心の壁を取っ払うためには一番シンプルは方法があります。それは、「記録を考えない」ことです。記録をだすために意識を費やすのはなく、あくまで充分なパフォーマンスが発揮されてからの結果です。このようにメンタルコントロールは陸上競技においてとても大切なことです。実際に為末大選手(現400mハードル日本記録保持者)も、「日本人は10進数の壁を意識してしまい。思うようなパフォーマンスが発揮されない」といった研究があがるほどです。スランプに陥ってしまうほど、自信を失ってしまい壁をより一層意識してしまうケースがほとんどです。

ですが、スランプは誰しもに起こりうる状態であり、誰しもが直面する問題です。練習がつらくなってしまったり、練習に耐えきれないときには、リフレッシュするために陸上競技から離れることも大切になります。遊びにいったりすることもとても良いと思います、やりすぎには注意しましょうね(笑)。メンタルをコントロールして、常にフレッシュな状態で陸上競技に向き合いましょう。泉谷駿介選手(現110メートルハードル日本記録保持者 東京オリンピック日本代表)の言葉として次のような言葉がありました。

「なにより、陸上競技が楽しいです」

この言葉には陸上競技の本質が詰まっていると思います。実際に100mの世界記録保持者であるウサイン・ボルト選手も「楽しむことを忘れるな」という言葉の通り、陸上競技において一番大切なことは「陸上競技を楽しむ」ことです。この楽しむことを忘れてしまいがちですが、陸上競技の楽しさを見出すことができる選手が間違いなく1番強い選手です。

スランプになった場合は、とにかく陸上競技の楽しさを忘れないようにしましょう。一番シンプルなことですが、すごく大切なことです。

まとめ スランプを利用する選手になろう

これまで、陸上教室で伸び悩む原因からスランプに至るまで紹介してきました。何度も繰り返しになってしまいますが、スランプは誰しもが起こりうる現象であり、深刻に受け入れる必要はありません。大切なことはスランプを利用して、成長へ繋げられる選手です。誰でもが、自己ベストの時の感覚は「これ以上のパフォーマンスが発揮できないほど、最高の状態」かと思います。自己ベストをさらに更新しようと考えたら、現在の自分のパフォーマンスをさらに高めなければなりません。つまり、まだ自分が感覚として得られていない感覚や技術を得る必要があります。そのためには、さらに負荷の高い練習や、動作の研究を継続しなければなりません。自己ベストを継続して出す行為は、トップ選手ですら何年もかかるものです。それほど難しいことなのです。

初心者のうちは記録向上がしやすいため、練習の成果の分結果がついてくるケースがほとんどです。ですが、長く継続すればするほど、そうともいかなくなります。練習は、基本的には裏切りません。しかし、適切な量と意識ができる場合のみであり、効率が悪い練習や考えて取り組んでいない練習は平気で裏切ります。そのため、記録が伸び悩む原因は一概に陸上教室であると言い切れません。がむしゃらに練習を頑張っているのに記録が伸び悩む人は、自分のフィジカルやコンディションを自分自身で理解することから始めてみてはいかがでしょうか。最初は些細なことからでいいと思います。今は情報社会であるため、インターネットやYouTubeで検索をしたらいくらでも知識を得られる時代です。ですが、全て鵜吞みにして言われるがまま取り組んでいては、成長には繋がりません。自分自身で情報を選択し、技術として得ることがスランプを利用する上でとても重要なだと思います。

おわりに

今回に記事では、陸上教室で伸びない理由と対処法から、スランプへの関わり方について紹介しました。この記事を読んでくださった皆様が、スランプを乗り越え自己ベストをだすことを心よりお祈り申し上げます。

なお、マンツーマン指導であればコーチが一人ひとりに合わせてメニューを組んで指導をしてくれます。お困りの際は私たち家庭教師にもご相談くださいね!

WRlTER この記事を書いたのは
ファースト陸上コーチ H.M

ファースト陸上コーチ H.M 家庭教師ファーストの陸上コーチ。小学生から陸上競技を始め、現役選手としても活躍中。陸上競技を中心に、幅広い年代の指導に当たることができます。