親であれば、わが子の未来を考え、最良の結果を望むことでしょう。大人になった我が子には当然苦労をさせたくないので、できる限りの対策を子どものうちに考えるものだと思います。今回は子どもの将来の運動神経を育てるという話です。なぜ、運動ができた方が良いのか、どうすれば運動神経抜群の子どもが育つのか、そのメリットも交えてみていきましょう。
運動神経にまつわる背景
日本人の運動能力は低下している
長期的に見ても、現代の子どもたちの運動能力は落ちています。最も顕著なデータがボール投げの飛距離で、30年前と比べて今の子どもたちは、平均身長は伸びているのにボールをうまく遠くまで投げることができません。
令和だけのデータを見ても、状況の悪化が見て取れます。スポーツ庁による全国体力・運動能力、運動習慣測定等調査の結果を見ると、令和元年に比べて令和3年のデータは明らかな運動能力の低下を示しています。 そして、その低下した運動能力は令和4年の調査においてもまだ令和以前の水準には戻っていません。
「活動的な身体活動」、最下位は日本
ヨーロッパや北米、日本などの28か国で行われたWHO(世界保健機関)の調査によると、汗をかくほどの「活動的な身体活動」を週に2回以上している人の割合は50%を下回り、日本が最下位でした。
日本の子どもの運動不足は他の先進国と比べても特に深刻であることがこの結果からは読み取ることができます。
有酸素運動という観点で見ても、スカンジナビア諸国(スウェーデン、デンマーク、ノルウェーなど)やオーストラリア、カナダの子どもたちは、一週間に平均3〜4時間の有酸素運動を取り入れているのに対し、日本の子どもたちの平均は1時間に満たない状況です。
有酸素運動とは、持久走やジョギング、スイミング、ジャンプロープ、サイクリングなどの軽い運動から中程度の運動までの範囲を指します。これらの運動は心拍数を上げて継続的に行うことで、心肺機能の向上や脂肪の燃焼を促進し、全体的な健康を保つ効果が期待されます。
WHOは、5-17歳の子どもたちに対して、週に少なくとも60分以上の中等度から激しい強度の有酸素運動を毎日行うことを推奨しています。したがって、1週間全体で見ると、420分、すなわち7時間以上の有酸素運動を目指すことが望ましいとされています。この推奨時間内で、骨密度を高めるような筋力トレーニングや骨荷重運動も週に3回以上取り入れることが推奨されています。
このことには実際に危機感を覚えている人は多いのではないでしょうか。今の30代、40代の人であれば、自分たちが少年・少女だったころには外を駆け回る少年たちや、公園で遊んだり話をしたりする少女たちを多く見かけていたことでしょう。
ですが、今は外に出ても通学・通塾以外で子どもを見かけることがほとんどありません。ご時世というのもありますが、実際に変化を目の当たりにした今の子どもの親世代の人たちは内心穏やかではないことと思います。
近年指摘される運動時間の二極化
昨今の子どもの運動不足は二極化の様相も呈しています。これもまたスポーツ庁「平成29年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」報告書で明らかになったことですが、「運動をする子」が週に平均約420分以上も運動をしているのに対して、「あまり運動をしない」グループの平均は運動時間が週60分未満と非常に差があります。
また、都市部の子どもたちと地方の子どもたちの間で運動時間の格差が拡大しているということもあります。都市部ではスクリーンタイム(テレビやパソコン、スマホなどのデバイスの画面を見ている時間のこと)の増加や遊び場の減少、地方ではスポーツ施設や少子化なども影響する同年代の遊び仲間の不足などが影響しています。
コロナ禍での自粛生活
まだその影響が続くコロナ禍も子どもの運動不足に大きく関連しています。
文部科学省によれば2020年以降、コロナ禍での外出自粛が続き、多くの子どもたちが日常的な運動を取り入れる機会が減少。学校の休校期間中、運動時間が週平均3時間減少したとのデータも報告されています。
自粛期間が空けても、学校に通学するだけで疲れてしまうと訴える子どもや、走るのが遅くなる子ども、また学校再開後に鬼ごっこをしている最中に骨折する子まで現れました。
子どもは発達速度が非常に速い分、マイナスの影響が出るのも非常に速いと考えられます。
運動不足がもたらす影響
現代が運動不足の原因満載の世の中であることは理解できたとして、では、運動不足になったらいったい実生活にどのような影響があるのでしょうか。
子どもが運動不足になると、以下のような実生活への影響が考えられます。思いもよらない影響もあるので注意です。
肉体的な健康への影響
真っ先に挙げられるのが健康への影響ですが、その中でも体力低下が懸念されます。体力が低下すると運動に対する意欲も落ち、運動不足⇒体力低下⇒運動不足といった悪循環に陥ってしまいます。
運動が不足すると、心肺機能や筋力が低下します。日常生活の活動にも支障をきたすことがあるでしょう。
その顕著な例が肥満です。 運動不足はエネルギー消費量を減少させ、肥満のリスクを高める可能性があります。肥満は、糖尿病や心血管疾患などの成人病のリスクを高めることもあります。 この辺りは学校の家庭科や保健体育の授業で習ったかもしれませんね。
精神・社会的な影響
運動不足に陥ると、実は精神的な影響も大いに出てしまいます。その中で挙げられるのは自己評価の低下です。一見すると関係のないようなことかもしれませんが、こと日常の行動が限られた子どもに関しては、運動は発達において非常に大きな意味をもちます。
運動をすることは、子どもにとっては小さな困難との遭遇の連続です。昨日はできなかったことが今日できるようになるということが子どもの自己肯定感を向上させます。
ですから、運動の機会が減少してしまうと運動を通じて自己肯定感や達成感を得ることが困難になり、自己評価が低下することも考えられるのです。つまるところ、単純に運動不足によって自己評価を上げる機会が失われるということです。
また、運動不足は社交性の低下にもつながります。スポーツはチームワークやコミュニケーションの場でもあります。運動の機会が減少すると、友達との関わり方にも影響を及ぼす可能性があります。ロックダウン中の運動不足のことは前述しましたが、身体的に不利なだけでなく、社会生活を営む上でもこのことはマイナスです。
社交性を育む場は何も運動だけではありませんが、やはり運動する機会が失われるということはこうしたインパクトももたらすのでしょう。
学業への影響
このことは後述するメリットの話にもつながりますが、運動不足は実は学業にも影響を及ぼします。
運動不足は、集中力や記憶力の低下につながることが研究で示されてもいます。最近ではこうした運動と学業の関連を取り扱った研究も非常に盛んです。学業には様々な要因が絡んではいますが、運動も一つの重要な要素であるのです。
また、運動は心と体をリフレッシュする効果があります。学業上のストレスの発散としての運動もまた子どもたちにとっては重要です。したがって、運動機会の減少はストレス管理能力の低下を招くリスクもあります。 運動不足によってストレスの溜まりやすい生活につながり、学業などのプレッシャーに対する耐えられる力を低下させる可能性も指摘されています。
将来的な影響
運動不足が長期化・常態化すると、子どもの将来にも影響します。健康リスクについては先ほど説明したとおりですが、運動不足が続くと将来的に生活習慣病などの健康リスクが高まる可能性もあるのです。
また、運動習慣の形成がなされていないまま大人になってしまうと、大人になってからも運動習慣を持つことが困難になる可能性が高くなります。単に健康に影響があるだけならまだしも、大人になって過程を持っても、今度は自分の子どもに運動不足のリスクが継承されて行ってしまうことも考えられます。
以上のような影響があるため、子どもの運動不足は深刻な問題となります。健康的な生活のためには、適切な運動の機会を提供し、子どもたちが運動を楽しめる環境を整えることが重要とされているのです。
運動不足が何となくよくないことはわかっていたとは思いますが、単に目先の状況だけで考えるのではなく長期的な視点を持ちしっかりと考えていくことが大切です。
子どもの運動神経が良くなることのメリット
さて、ここまでは子どもの運動能力が低下することがもたらすデメリットについて説明してきましたが、「そんなのは当たり前ではないの?」と思った方も多いかもしれません。
デメリットばかりに着目しても、将来の子どもの運動神経をよくするための行動の動機としては弱いかもしれません。ですので、ここからはメリットに着目していってみましょう。
子どもの頭がよくなる
運動と認知能力や学習能力に関する関連性は、多くの研究で取り上げられています。いくつか例を見ていってみましょう。
近年のとある研究では、エアロビックフィットネスが認知や学業の成果にどのように影響するかを検討しました。その結果、エアロビックフィットネスの高い子どもは、神経的な効率や認知的なタスクの実行能力、学業の成果が高いことが示されました。
別の研究では、学校における運動プログラムの実施と学業の成果との関係が検証されました。結果として、定期的な身体活動は学業の成果を向上させ、注意や認知のタスクでのパフォーマンスも向上させることが示されました。
運動と脳に関する脳科学的な研究では、運動が脳の構造や機能に与える影響を総合的に検討するレビューがされました。その結果、運動は、脳の神経プラスチシティを促進し、特に海馬という記憶に関連する部位のボリュームを増加させることが示されました。
これらは運動と知能の関係を調べた研究のほんの一部です。ですが、これらからは運動が脳の健康や認知能力、そして記憶力までにも有益であることがよくわかります。
運動は心血管系の機能を向上させるため、健康の向上だけでなく、脳の機能や構造にもポジティブな影響を与えることが多くの研究からも示されているのです。
危険察知能力が身につく
頭が良くなるだけが運動のメリットではありません。幼少期の運動を伴う遊びの体験が、子どもの危険察知能力などに寄与することがいくつかの研究で判明しています。
ある研究では、子どものリスクを伴う遊びとその後の傷害のリスクに関する関係が検討されました。この研究ではリスクを伴う遊びは子どもの危険察知能力やリスク評価能力の発達に有益であることが示されました。
また、別の研究では環境と子どもの発達についての関連を調査しました。この研究は子どもが環境から学ぶことや、身体を動かすことで環境を理解するプロセスを検討しました。結果として示されたのは、子どもは身体を動かすことで環境との相互作用を学び、それによって危険を回避するための戦略や認識を形成するということでした。
さらに別の研究では、遊びの重要性と子どもの健全な発達、親子関係の維持についての総合的なレビューが行われました。この研究の結果は、遊びは子どもの認知スキル、身体スキル、社会的スキルの発達に不可欠であり、それによって子どもは安全な判断を下す能力を獲得することを示しています。
これらの研究は、子どもの遊びや身体活動が危険察知能力や環境との適応、そして健全な発達に寄与することを示していますが、運動をすることでいざという時のリスクも低下させるとなれば、運動を感情的なえり好みだけで避けるというわけにはいかないことがわかるかと思います。 そうしたことを考えると学校での体育の授業の必要性は納得です。また、運動についての指導も行うことができる家庭教師も塾とは違った付加価値を持っているといえるでしょう。
子どもの心理的発達を促す
運動を伴う遊びは、子どもの心理や性格形成に多くのメリットをもたらします。以下にそのメリットをいくつか挙げていきます。
①自己効力感の向上
幼少期に運動を経験することで、子どもは新しいスキルや技術を習得する経験を積み、自分の能力を信じる自己効力感が育まれます。
自己効力感という言葉を提唱したのはバンデューラという心理学者です。というのは、ある行動をするときに「自分にはこれをする能力がある」と認識することをいいます。これが低いと、「自分には無理」といって何もやりたがらない子どもに育ってしまいます。
自己効力感が育まれるためには成功体験が不可欠なのですが、遊びの中で行う運動をするとき、子どもは楽しみながら適度な課題に直面することになります。それを夢中になって乗り越えていくことで、次々とできることが増えていき、それに従って自己効力感も増していくというわけです。
②社会的スキルの発達
運動の中でもスポーツをすることは非常に大きな恩恵を与えてくれます。特にチームスポーツや、大人数がかかわるスポーツサークルなどが良いです。チームスポーツやグループでの活動を通じて、子どもたちのコミュニケーション能力、協力性、共感性などの社会的スキルが養われます。
これらの能力は子どもの発達段階的にも重要で、こうした社会性を磨くような場面でほかの子どもたちと交流することは性格面にも大きく影響を与えます。
③情緒調節の向上
運動を通して子どもは、失敗や困難な状況に直面したときの感情の扱い方や、ストレスを適切に処理する能力を学びます。
このことは自己効力感にも似ている部分がありますが、うまくいかなかったときなどにどのように物事に対処するかという能力が育まれるという点で注目すべき事柄です。
試行錯誤を通して子どもは何かを学んでいきますが、そのような場面は子どもの時から運動などを通しても得られるのです。
④自律性の発達
自律性というと難しい言葉かもしれませんが、要は自分を律する=うまくコトントロールするということです。
運動を通じて、子どもは自分自身の身体をどのように動かしたらよいかを学び、自らの意思で行動を選択する経験を積み重ねることができます。子どもたちはこうして自律性が育んでいきます。
このような段階を踏まないと、自分で物事を決められなかったりと消極性が強くなっていってしまいます。
これらのことから、運動は単に身体的な能力を養うだけでなく、様々な心理的・社会的スキルや性格の形成にも寄与する重要な要素であると言えます。
子どもの運動神経が良くなるために
ここからが今回のメインテーマです。運動することのメリット、運動しないことのデメリットを見ていきましたが、子どもの親は具体的には何をすればよいのでしょうか。 以下に子どもの運動神経が良くなるためにできることを挙げていきます。
①多様な運動を経験
まず子どもにとって大切なのは、多様な運動を経験することです。
親も人ですから、ともすると子どもには自分の理想像を押し付けてしまうことがあるかもしれません。しかし、子どもの向き・不向きやその時の傾向などによって子どもの好き嫌いは大きく左右されます。
ですから、折に触れ幅広いスポーツや運動に取り組むことが大切です。こうすることで様々な動きやスキルを学ぶことができる上に、子どもにとっても自分の興味関心を見つけやすく、没頭する時間が多くなる可能性が上がります。
没頭することの良さは、「フロー体験」という言葉で表されるように、子どもにとっては非常に重要な体験となります。
ちなみに、フロー体験とは、心理学者ミハイ・チクセントミハイ(Mihaly Csikszentmihalyi)氏によって提唱された概念で、人がある活動に集中して夢中になり、自己の能力と課題の難易度がバランスしている状態を指します。この時、時間感覚が失われたり、自己意識が薄れたりすることが特徴です。
ミハイ氏は人生において偉業を成し遂げた人を対象にフロー体験の研究をし、フロー体験と成功との関係性を指摘しましたが、これは将来の天才がフロー体験を多く得てきただろうという仮説に基づくものでした。
子どもをいかに没頭させることができるのかは一つ大きなキーワードになるかもしれません。
多様な運動の具体例としてはサッカー、バスケットボール、テニスなどの球技だけでなく、水泳、体操、ダンスなどバリエーションに富んだ体験をすると良いでしょう。これらのスポーツはポピュラーですので、どこに暮らしていても比較的参加することが容易です。
すでに言及していますが、注意点としては、子どもの興味や適性を無視せず、無理に特定のスポーツに特化させないことを意識すると良いでしょう。
忙しくてなかなか時間が取れないということもあるかもしれませんが、週末のファミリースポーツの時間を設けたり、地域のスポーツクラブや教室に子どもを参加させるなど、様々な活動が考えられます。
②遊びを取り入れる
子どもにとっての仕事は何かといえば、遊ぶことです。当然、しつけやルールを守らせることも大切ではあるのですが、子どもの目線から見ても、発達的な観点から見てもそれは単に大人の都合であって、遊ぶことこそが子どもにとっては大きな学びであり、成長の根源です。
ですから、子どもに運動をさせる時には型にはまったことをさせるのではなく、遊びを重視することが大切です。思うがまま自由に遊ぶことで、子どもは自然にバランス感覚や協調性を身につけることができます。
そのような遊びは先述のフロー体験にも結び付きますし、何より好きなことを興味の赴くままに行うということは、嫌いなものを増やさないという点でもメリットがあります。自分の好きなスポーツを押し付けてしまい、そのせいで子どもがそのスポーツを嫌うようになるという話もよく聞きますね。
具体的には、縄跳び、かくれんぼ、鬼ごっこ、ドッジボールなど、高度な技術が要求されず、シンプルでそれでいてゲーム性が高い遊びが良いでしょう。
注意点としては、子ども同士の遊びに大人が過度に介入しないことが挙げられます。安全を確保しつつ、子どもたちに自由に遊ばせることが子どもたちの社会性を育てる上でも非常に重要です。 親や保護者は可能な限り公園などの遊び場へ子どもを連れていくことをすると良いでしょう。また、子どもの友人を家に招いて集団での遊びを楽しませるなどもできると良いでしょう。
③基本の体操やストレッチ
意外と手軽にできるのについついやらないでいてしまうことが多い体操やストレッチも重要です。具体例には前転、後転、立ち幅跳び、ストレッチ(ハムストリング、四頭筋など)など、子どものサイズであれば家の中でもスペースを気にせず気軽に取り組めるものがたくさんあります。
外にあまり出かけられない環境も、最近では都市部に限らず増えてきていますが、体操やストレッチはそんな環境にあっても取り組めます。
大人になると体が硬くなるので、親や保護者も子どもと一緒に体操やストレッチをすることが良いかもしれません。
注意点しないといけないのは、無理な体勢や過度なストレッチをしてしまわないようにすることです。子どもの体は柔軟ですが、柔軟だからといってやりすぎてしまうと筋肉や関節を傷つける可能性もあります。
親や保護者は毎日のルーティンとしてストレッチや体操の時間を設け、一緒に行うことで自身のコンディションも整えられるのでお勧めです。
④外へ連れ出す
もちろん、公園や自然などの家の外での活動をすすめるのもよいことです。公園や自然の中での遊びは、運動神経の発達に役立ちますし、家の中でできることをあえて外で行ってもよいでしょう。
外での活動の例としては、ハイキング、ピクニック、自転車、キャンプなどがあります。キャンプは野外での活動としては非常に良いです。最近ではグランピングも流行ってきており、アウトドアアクティビティのハードルも下がってきています。機会を見つけて積極的に出かけてみましょう。
ただし、最近は非常に気温が高くなってきているので、特に夏などには天候や環境の安全性を確認することが大切です。また、暑い日も寒い日も適切な服装や保護を確保することも忘れないようにしましょう。せっかく出かけたのに、夏は熱中症にかかったり冬はしもやけ・凍傷などにかかってしまうと治療に時間を費やす羽目になってしまいます。
そうならないためにも親や保護者がしっかりと活動を計画し、家族全員の安全を確保し楽しむようにしましょう。
⑤リズムに合わせて動く
手軽にできる行動の一つとして、ダンスや太鼓などリズム感を養う活動があります。これも非常にシンプルですが、子どもの運動神経の向上に大きく貢献してくれます。
具体例には子ども向けのダンスクラス、太鼓やドラム教室に参加したり、リトミックなどの音楽に合わせた遊びを行うとよいでしょう。
リトミックなどは一昔前にはあまり聞きなれない言葉でしたが、最近ではかなりポピュラーになってきています。音楽に関する習い事をさせたいという親御さんは多いですが、ピアノやバイオリンはどうしても敷居が高くなってしまいます。ですが、上記の音楽活動は参加しやすく、経済的な負担も大きくはありません。
注意したいのは、音楽の音量やリズムに注意して、子どもの耳や身体に負担をかけないようにすることです。音楽であればなんでもよいというわけではなく、子どもの発達段階や好みに合ったものを選ぶようにしましょう。
子どもの好みを把握するには、普段から子どもと一緒に活動することが大切です。家での音楽の時間を設けて、一緒にリズムに合わせて動くなど、生活に落とし込めると理想的です。
⑥安全な環境の提供
子どもがのびのびと運動をすることだけでなく、子どもの怪我などのリスクを低減させるための配慮も運動そのものに劣らず重要です。
適切な運動靴や安全装備を用意し、適切な指導の下で活動を行わせることが基本となります。適切なスポーツ用具、ヘルメットやプロテクター、安全な遊び場所の確保などが具体的な内容です。
道具はなるべく大切に長く使いたいものですが、おさがりの運動靴など長期間使用したものは劣化している可能性が高くなってきます。そうすると、保護することが目的であるはずの装備がかえってけがなどのリスクを増長させることになります。
また、使用する機器や遊び場所、遊具の定期的な点検・メンテナンスも大切にしましょう。親や保護者は子どもが使う用具のサイズや適性を確認し、定期的に更新や調整を行うようにすることが大切です。これは面倒ですし費用もかかることもありますが、必要な投資ですので惜しみたくはないものですね。
⑦適度な挑戦を与える
これも環境的な要素になりますが、親や保護者が子どもに新しいスキルや難易度の高い運動に挑戦させることで、成長の機会を増やすことができます。
新しいスポーツや技術の導入、運動会や競技会への参加などが実行可能な具体例として挙げられます。最近では幅広い年齢層向けに実に様々なスポーツが考案されていますフットゴルフやモルックなどという名前を聞いたことがある人がいるかもしれません。
メジャースポーツを好まなくとも様々な形で運動する機会を得ることができるようになってきており、子どもにとって「これなら少し頑張ればできそうだ」という適度な挑戦が得られやすくなってきていると言えます。
子どもの送迎などの手間に加え、子どもがケガをしたりすると、病院に連れて行かなくては行けなかったりと非常に手間が増えるので、あまり積極的に新しいことをさせたがらない人もいるかと思います。
しかし、だからと言って子どもを安全な所に閉じ込めてぬくぬくと過ごさせていては、かえって危機管理能力が育たず思いもよらないところでケガをするリスクが増えてしまうことも考えられます。そういった点でも、子どもには小さいうちから適度な挑戦を与えることは大切です。
ただし、ここでも子どもの適性や興味を考慮し、過度なプレッシャーをかけないことは忘れてはいけません。子どもの成長や興味を観察し、新しい挑戦を提案するなど、子どもの実情に配慮をすることも重要です。同時に、失敗を恐れずに挑戦する精神を育てることも忘れないようにしましょう。
最後に
今回は子どもが将来運動神経抜群になる秘訣として話をしました。この中のいくつかのアイデアをすでに持っているという人はいるかもしれませんが、すべてを思いついた人は少なかったのではないでしょうか。
意外と普段の生活王で取り組むことができることは多いということに気付いていただければ著者としては幸いです。
親が子どもの将来のために関わるということは子どものためにももちろん大事ですが、実は親子関係の向上にも非常に重要です。
これは意外な観点かもしれませんが、親子の絆に寄与する理由はいくつか挙げられます。
まず、共同の活動をすることで、親子間の相互理解や信頼関係が形成されます。
また、遊びなどを通して子どもは喜びや興奮、時には失望や怒りなどの感情を経験します。親がこれらの感情に対して共感的な反応を示すことで、子どもは自分の感情を理解し受け入れてもらえると感じるようになります。
子どもとってそうした安心感は重要で、この土台がしっかりしていると子どもは安心して“冒険”
することができるようになります。
また、親は子どもと遊ぶことで、子どもの興味や能力、好みなどをより深く理解することができます。逆に、子どもも親の考え方や価値観を学ぶことができます。 昨今では世代間のギャップから子どもに対する接し方がわからないと悩む親や保護者は増えてきていますが、今回取り上げた活動に取り組むことで親子関係の向上も期待できるとなれば、やらない手はないですね。
WRlTER この記事を書いたのは
ファースト登録コーチ K.M 家庭教師ファースト登録家庭教師。教員免許所持。学習の家庭教師としても活躍中。塾講師・家庭教師歴10年以上。